2010年 03月 04日
根っこは吸うだけではない。 |
備忘録的教訓
1「吸う」だけの根っこもあれば「貯める」根っこもある。
2根っこは微生物を飼育している。(かのようにみえる。)
3根っこは呼吸をしている。
4細胞分裂のパターンが異なると土壌の管理パターンも異なる。
5根っこの機能性や特性を栽培種ごとにある程度把握すること。
■タフなニラ、ニンニク、アスパラガス。
単子葉植物と双葉子葉植物。
分類上の問題ではあるが、進化の過程上の形状、機能もおおざっぱに異なる。
■わが圃場に生息する?野菜を比べてみれば、ニンニクやニラとパプリカやナバナの根っこの意味合いは同じではないということに気づく。吸うことに重きをおいた根の機能から、貯める根の機能ということも留意するべき作物もある。
■ナバナは双子葉植物であるがタフなほうである。このナバナは吸いながら主根の付け根を肥大させ、貯金をする食物である。カブや大根、にんじんも同じ。
この貯金分で春先にえいやっ!とうだちさせ、花を咲かせる。
ジャガイモの吸肥根はどうなっているのだろう。宿題1
■ニンニクやニラは「盤」から全部主根のようなヒゲ根が多数出てくる。とくにニラの根は糖類の貯蔵庫として大活躍する。(安 東赫, 池田 英男. 2007. 刈り取り後におけるニラの器官別の重量ならびに糖類含量の変化 . 園学研. 6: 217-221 .)刈っては葉が再び伸びて、というのは根が吸って葉を伸ばすだけでなく、「貯金」をきちんとしているからだ。
これは同じユリ科のアスパラガスも同じ。根っこがそっくりだなあ。気づかなかった。
蓄えをしっかりしてる堅実派といえる。
■TAMファーム氏のニラ圃場は篤農家のアスパラ圃場に似ているのも納得がいく、。
■これに比べナス科のパプリカやトマトは根っこに貯蓄はしない(正確にいうとしてますが、ユリ科にはとてもかなわない。貧乏。)地上部の実を最優先させるべく吸収と伸長に重きをおく。自転車操業のようなものである。そのための根への糖再配分とみてよい。
「吸収命」であるからして、主根から側根を出し、毛根を発達させ、とにかく「根の表面積」を増やそうとする。
先のユリ科ニラやニンニクのように「根の容量」を増やそうとするのとは性格が異なる。
■この性格上の違いを頭に入れてニンニクやパプリカの管理手法を組み立てなおしてみる。
まずはニンニク。
今年試験的に堆肥多め(気相高め)で追肥なしの試験区を設けた。
冬場乾燥した状態では生育は緩慢であったが、この春の気温上昇と雨で一気に生育が追肥ありのところへ追いつこうとしている。
11月に植えて芽を出したその先からこつこつと根に炭水化物を貯蔵していたようだ。
このごはんを使って一気に地上部を太らせてきた。
このときこそ地上部と地下部の連携がもっとも必要になるタイミングであり、追肥の有効性が高まるときではないか。
■整理すると、
・ニンニクは植え付けから初期生長をスムーズに促して「根の容量」を増やすことを第一の主眼とする。
年内地上部の葉数9枚といわれるのは、地上部の大きさが大事なのではなく、
地下部の貯金(根の容量)が大事なのだ。
既存産地が黒ぼくや砂地主体のところが多いのも、この根の容量を増やすためには「酸欠」を回避したいが故ではないだろうか。(ニラ、ニンニク、アスパラの産地は重複する。ラッキョウも砂地や火山灰地に多いですな。)
・よって気相重視(その他要素ももちろん重要であるが、根の特性上酸欠に特に弱い。でも水はいるから。)と考える。
・そして厳冬期には生育が散漫になるが、辛うじて地下部の貯金や、時折の好天で「横横」の生育。
このときに地上部の生育に目を奪われた管理は的外れになる場合もある。
あくまで根の容量、貯金を増やすための対策でなければならない。
・春になり地温、気温、長日条件などが整ってはじめて、地下部の貯金をフルに利用しながら一気に地上部の成長をすすめてくる。(今ですな。2月~3月)
玉の肥大を進めさせるための地下部⇔地上部の連携が有効な時期である。
地上部に留意した管理に移行するのはこのとき。
これが行き過ぎると玉の肥大を止めれない、軟弱成長となってしまう。
切れの良い肥料が活躍するときである。
と面倒くさく書いても、これを作業体系に置き換えると、やることは同じだなあ。
■
・定植から厳冬期まで、初期肥効重視かつリン酸が最初から最後まで効かせる事ができる施肥設計と水分コントロールによる、「根の容量」を増やすための管理。パプリカやトマトのように「絞った」管理などをしない。根痛みしない程度に攻め。攻めるためには気相の確保重視。
・厳冬期は根の活性を落とさない(貯金を食いつぶさない)ための管理。
ここで、地上部に目を奪われて無駄な的違いな肥料を追肥しないこと。
・地上部が動き出してくる2月後半から3月は再び即効性のアミノ酸系肥料で地上部と地下部の連携を促すための管理。
・玉の肥大期は、根によって吸う肥料成分を補給というより、根と葉の養分を玉に集中させるようなイメージの管理。無駄な肥料分が土壌に残らないように注意。水分は中盤まで切れないように。終盤は水切りで。
・全期を通じてミネラル、リン酸先行というのはいうまでもない。
■アスパラのような土作りをするとニンニクも間違いなく良品多収。
経費がみあわないだけ。
■パプリカやトマトでこのような土つくりをするとどうなるか?
うーむ。わからん。
※この考察はTAMファーム氏とのやりとりにより着想を得たものです。
ニラとパプリカの根の特性の大きな違いを意識することができました。
考えているうちにニンニクの試験区のことも納得ができるようになりました。
普段は土俵である「土」の問題や地上部の生育に意識が傾きがちになります。
教科書やお手本には作業種や肥料成分で書かれることが多いので、ついつい同じ「根」であると勘違いしてしまうのです。
主人公である植物の根の機能性、生理上の違いなども考慮しないといけないなあと思ったわけで。
その他根っこが微生物を飼育しているなどはまた今度。
1「吸う」だけの根っこもあれば「貯める」根っこもある。
2根っこは微生物を飼育している。(かのようにみえる。)
3根っこは呼吸をしている。
4細胞分裂のパターンが異なると土壌の管理パターンも異なる。
5根っこの機能性や特性を栽培種ごとにある程度把握すること。
■タフなニラ、ニンニク、アスパラガス。
単子葉植物と双葉子葉植物。
分類上の問題ではあるが、進化の過程上の形状、機能もおおざっぱに異なる。
■わが圃場に生息する?野菜を比べてみれば、ニンニクやニラとパプリカやナバナの根っこの意味合いは同じではないということに気づく。吸うことに重きをおいた根の機能から、貯める根の機能ということも留意するべき作物もある。
■ナバナは双子葉植物であるがタフなほうである。このナバナは吸いながら主根の付け根を肥大させ、貯金をする食物である。カブや大根、にんじんも同じ。
この貯金分で春先にえいやっ!とうだちさせ、花を咲かせる。
ジャガイモの吸肥根はどうなっているのだろう。宿題1
■ニンニクやニラは「盤」から全部主根のようなヒゲ根が多数出てくる。とくにニラの根は糖類の貯蔵庫として大活躍する。(安 東赫, 池田 英男. 2007. 刈り取り後におけるニラの器官別の重量ならびに糖類含量の変化 . 園学研. 6: 217-221 .)刈っては葉が再び伸びて、というのは根が吸って葉を伸ばすだけでなく、「貯金」をきちんとしているからだ。
これは同じユリ科のアスパラガスも同じ。根っこがそっくりだなあ。気づかなかった。
蓄えをしっかりしてる堅実派といえる。
■TAMファーム氏のニラ圃場は篤農家のアスパラ圃場に似ているのも納得がいく、。
■これに比べナス科のパプリカやトマトは根っこに貯蓄はしない(正確にいうとしてますが、ユリ科にはとてもかなわない。貧乏。)地上部の実を最優先させるべく吸収と伸長に重きをおく。自転車操業のようなものである。そのための根への糖再配分とみてよい。
「吸収命」であるからして、主根から側根を出し、毛根を発達させ、とにかく「根の表面積」を増やそうとする。
先のユリ科ニラやニンニクのように「根の容量」を増やそうとするのとは性格が異なる。
■この性格上の違いを頭に入れてニンニクやパプリカの管理手法を組み立てなおしてみる。
まずはニンニク。
今年試験的に堆肥多め(気相高め)で追肥なしの試験区を設けた。
冬場乾燥した状態では生育は緩慢であったが、この春の気温上昇と雨で一気に生育が追肥ありのところへ追いつこうとしている。
11月に植えて芽を出したその先からこつこつと根に炭水化物を貯蔵していたようだ。
このごはんを使って一気に地上部を太らせてきた。
このときこそ地上部と地下部の連携がもっとも必要になるタイミングであり、追肥の有効性が高まるときではないか。
■整理すると、
・ニンニクは植え付けから初期生長をスムーズに促して「根の容量」を増やすことを第一の主眼とする。
年内地上部の葉数9枚といわれるのは、地上部の大きさが大事なのではなく、
地下部の貯金(根の容量)が大事なのだ。
既存産地が黒ぼくや砂地主体のところが多いのも、この根の容量を増やすためには「酸欠」を回避したいが故ではないだろうか。(ニラ、ニンニク、アスパラの産地は重複する。ラッキョウも砂地や火山灰地に多いですな。)
・よって気相重視(その他要素ももちろん重要であるが、根の特性上酸欠に特に弱い。でも水はいるから。)と考える。
・そして厳冬期には生育が散漫になるが、辛うじて地下部の貯金や、時折の好天で「横横」の生育。
このときに地上部の生育に目を奪われた管理は的外れになる場合もある。
あくまで根の容量、貯金を増やすための対策でなければならない。
・春になり地温、気温、長日条件などが整ってはじめて、地下部の貯金をフルに利用しながら一気に地上部の成長をすすめてくる。(今ですな。2月~3月)
玉の肥大を進めさせるための地下部⇔地上部の連携が有効な時期である。
地上部に留意した管理に移行するのはこのとき。
これが行き過ぎると玉の肥大を止めれない、軟弱成長となってしまう。
切れの良い肥料が活躍するときである。
と面倒くさく書いても、これを作業体系に置き換えると、やることは同じだなあ。
■
・定植から厳冬期まで、初期肥効重視かつリン酸が最初から最後まで効かせる事ができる施肥設計と水分コントロールによる、「根の容量」を増やすための管理。パプリカやトマトのように「絞った」管理などをしない。根痛みしない程度に攻め。攻めるためには気相の確保重視。
・厳冬期は根の活性を落とさない(貯金を食いつぶさない)ための管理。
ここで、地上部に目を奪われて無駄な的違いな肥料を追肥しないこと。
・地上部が動き出してくる2月後半から3月は再び即効性のアミノ酸系肥料で地上部と地下部の連携を促すための管理。
・玉の肥大期は、根によって吸う肥料成分を補給というより、根と葉の養分を玉に集中させるようなイメージの管理。無駄な肥料分が土壌に残らないように注意。水分は中盤まで切れないように。終盤は水切りで。
・全期を通じてミネラル、リン酸先行というのはいうまでもない。
■アスパラのような土作りをするとニンニクも間違いなく良品多収。
経費がみあわないだけ。
■パプリカやトマトでこのような土つくりをするとどうなるか?
うーむ。わからん。
※この考察はTAMファーム氏とのやりとりにより着想を得たものです。
ニラとパプリカの根の特性の大きな違いを意識することができました。
考えているうちにニンニクの試験区のことも納得ができるようになりました。
普段は土俵である「土」の問題や地上部の生育に意識が傾きがちになります。
教科書やお手本には作業種や肥料成分で書かれることが多いので、ついつい同じ「根」であると勘違いしてしまうのです。
主人公である植物の根の機能性、生理上の違いなども考慮しないといけないなあと思ったわけで。
その他根っこが微生物を飼育しているなどはまた今度。
by kousakudou
| 2010-03-04 21:23
| 土ラボ(資材・技術等)